尿路結石について


尿は腎臓で作られ、細い尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って体の外に排出されます。尿路結石とは、ワンちゃんやネコちゃんの腎臓や尿管、膀胱内で形成される固形の結晶塊です。これらの結石は尿中のミネラルや化学物質が結合して形成され、腎臓や膀胱内にたまってしまいます。これにより尿の通り道が詰まり、炎症や感染症を引き起こしたり、尿がでなくなってしまったりしてしまいます。石ができる場所や詰まってしまう場所によって、症状は様々です。

結石の種類はストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)かシュウ酸カルシウムのどちらかとなることが多いです。

ストルバイトは食事療法で溶解を試みることもできますが、シュウ酸カルシウムの場合はほとんど溶けることはありません。

また、腎結石、尿管結石の場合はシュウ酸カルシウムがほとんどです。

 

 


腎臓結石

腎結石自体では、初期にはほとんど症状が見られないことが多いです。間欠的な血尿を繰り返すなどで腎結石が診断されることもありますが、ほとんどの場合健康診断や尿路疾患の検査の過程でレントゲン検査や超音波検査で偶然発見されます。

小さな結石に対しては定期的な尿検査や超音波検査などでの経過観察となることがほとんどです。稀ではありますが、あまりにも大きくなると感染や腎機能障害を起こすため、腎切開によって摘出する場合もあります。

 

 

尿管結石

結石が尿管に詰まってしまうと、尿が流れない、流れづらくなってしまいます。

そのため、腎臓内や閉塞部位までの尿管に排泄されない尿が溜まってしまい、腎盂が拡張したり、水腎症や水尿管という状態になってしまいます。

腎臓は左右にひとつずつあり、お互いを補ってくれるため、片方のみ尿管結石が起こっても正常な腎臓が頑張ってくれて目立った症状が現れないことも多いです。

しかし、両方の尿管で閉塞が起こっている、または片方で閉塞が起こりもう一方の腎臓はほとんど機能していないなどの状態になると、緊急で大変危険な状態です。腎臓にカテーテルを入れて一時的に尿を出してあげたのちに、手術で尿管から結石を取り除く、拡張した尿管と膀胱を繋ぐ、腎臓と膀胱を特殊なカテーテルで繋ぎ、尿路のバイパスを作るなどの手術が必要となることもあります。

 

 

腎臓膀胱バイパス手術
腎臓膀胱バイパス手術

膀胱結石

膀胱に結石ができると、慢性的な血尿、渋りなどの膀胱炎症状、感染などを引き起こします。

結石の大きさにもよりますが、これらの症状が強い、内科療法に反応しない場合は一般的に手術での摘出が必要となります。

結石が小さくストルバイトが疑われる場合は食事療法などで溶解を試みることもありますが、後述のように尿道まで流れて詰まってしまう場合もあるため、注意が必要です。

 

 

 

 

 

巨大な膀胱結石
巨大な膀胱結石
摘出した膀胱結石
摘出した膀胱結石

尿道閉塞

尿道に結石が詰まってしまうと、尿道閉塞となります。尿が出せないため膀胱はパンパンとなり、色々なところで尿をしようとするがポタポタしか出ない、出血するなどの症状が出ます。それでも出なければ腎臓にも負荷がかかって1~2日で急性腎不全を引き起こし、大変危険な状態となります。

 

特に男の子のネコちゃんは尿道が非常に細く、眼に見えるような結石でなくとも、尿道詮子(砂や泥のような、ストルバイトや血液、炎症産物が混じったもの)でもすぐに詰まってしまいます。

 

すぐに尿道にカテーテル(管)を入れて尿を出さなければなりませんが、それでも解除できない、再発を繰り返す場合は手術(尿道切開や膀胱切開、会陰尿道造瘻術など)が必要となることもあります。


尿路結石は、いずれも早期発見と予防が重要です。

定期的な画像診断や尿検査を行い、飲水量や食生活などに気をつけていきましょう。



診療動物:   犬 ・ 猫



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